子ども食堂で修行してきました。
この8月は、子ども食堂の現場を経験するために、
都合10日間、子ども食堂で修行していました。
子ども食堂は、月二回とか週一回、
公民館や集会所で開かれることが多いのですが、
私が修行していた子ども食堂は、
自前の場所を持っているため、
子ども食堂を毎日開くことができます。
朝食・昼食・夕食と三食提供できます。
しかも、今、夏休み中だから、
一日中開いている子ども食堂は、
そのまま子どもの居場所になっています。
そういう場所ですから、
朝から晩まで、子ども食堂に居続けて、
子ども食堂に関するすべてを体験すれば、
食堂の運営やこの活動の全体像、
そして今後の課題みたいなものを、
体験的に学ぶことができるだろう。
それが、今回の食堂修行の趣旨です。
朝7時、軽めの朝食を数名に提供した後、
ここは自前の場所であるため、
毎朝、食堂全体の掃除から仕事が始まります。
掃除機をかけて、拭き掃除をして、
トイレ掃除もします。
約1時間、かかります。
その後、お茶をしながら、雑談。
10時頃に、冷蔵庫の中を眺めながら、
今日のメニューを検討します。
運営資金が乏しいので、
極力、寄付されたものでメニューを考えるのですが、
これが結構むずかしい。
ジャガイモが大量に寄付されている反面、
たまねぎは2個だけだったり、
茄子や小松菜が、
冷蔵庫に大量に転がっていたり、
寄付された鶏肉が冷凍されたまま残っていたり、
安い時に仕入れておいた、
牛こま切れ肉の賞味期限が迫っていたり…。
そのために、例えば、
ジャガイモを減らすために、
子どもに人気のあるポテトサラダ。
牛肉と玉葱を焼肉ダレで炒めて、
小松菜のおひたしを添える。
茄子と油揚げのみそ汁。
こんな昼食メニューを考えるわけです。
そして、10時半頃から仕込みにかかります。
一方、子どもたちは、
9時を過ぎた頃から、
徐々に食堂に集まってきます。
夏休みの間、家にいても退屈なので、
ここで自分が持ってきたゲーム機でゲームをしたり、
食堂においてあるカードゲームで遊んでみたり、
パソコンでゲーム攻略の動画を見たりします。
夏休みの宿題を持ってきた子も一人いました。
ですが、遊ぶ仲間がいれば、宿題なんてやりません。
私たちも「宿題をやりなさい」とは言いません。
私たちまで親と同じことを言いだしたら、
ここもまた、子どもの居場所ではなくなってしまいますから。
ですから、ケンカやイジメ、
ケガするようなことさえしなければ、
後はゴロゴロと好きなようにさせています。
本来、夏休みは、そういう時間だったはずです。
大人たちの役割は、
遠くから子どもたちを見守ること。
その人間関係や好きな遊び、
子どもの個性を観察しておくこと。
12時近くになったら、
遊んでいたものを片づけさせて、お昼御飯。
食堂で食べる子もいれば、
いったん家に帰って食べる子もいます。
1時を過ぎると、
また子どもたちが集まってきて、
それぞれが勝手に、大騒ぎして遊びます。
カオスです… 子どもの声は疲れます…。
3時頃、寄付としていただいた梨を出しました。
野菜は嫌いとか言っているのに、
皮を剥いてある果物だと、
5分もしない内になくなります。
そして、4時頃に夕食メニューを考え、
仕込みを始めます。
家庭での食事の仕度と
食堂での仕事は、
作っているモノは同じでも、
作業手順は、かなり異なります。
メニューは固定なのですが、
一応、食堂ですから、
今日、何人来るのか、わかりませんし、
何時に来るかも、わかりません。
ですから、材料を多めに下拵えしておいて、
来たら、すぐ調理して
出せるようにしておかなくてはなりません。
でも、思ったほど、人が来なかった場合、
材料が無駄にならないようにする工夫も必要です。
例えば、お昼にお客が少なくて、
ごはんが大量にあまった場合、
夕飯はチャーハンにしてみるとか、
小松菜のおひたしが余ったら、
油揚げと一緒に煮含めて、お総菜ぽくしてみるとか。
昨日の夕食は、鶏肉が大量にあったので、
タンドリーチキンにしてみました。
まず、鶏肉を一口大に切り分け、
ヨーグルト、トマトケチャップ、すりおろした生姜とニンニク、
塩・胡椒のタレで揉み込み、味付けをしておきます。
タンドリーチキンの下に引くレタスを細かくちぎり、
横に乗せるトマトやゆで卵もスライスして、
ラップをかけて冷蔵庫に用意しておきます。
みそ汁は、お昼に残ったものを温め直した上に、
それだけでは足りないので、増量しておきます。
小松菜も火を通し、お総菜の味付けにして、
後は盛るだけにしておきます。
ごはんはお昼に炊いておいた分で間に合うでしょうし、
間に合わなかった場合、
冷凍しておいたごはんを解凍することで対応することにします。
食堂で遊んでいた子どもたちは、
5時半の「良い子はお家に帰りましょう」の町内放送とともに、
ほとんどが家に帰って、家で夕食を食べます。
入れ違いに、子どもたちだけで食堂にやってくる子ども、
そして、仕事を終えたお母さんと一緒に来る子ども、
この人たちが、夕食の時間帯の「常連」さんです。
お母さんの多くは、シングル・マザーです。
シングル・マザーにとって、
仕事を終えた後、
さらに家で御飯仕度をするのは、とても負担になります。
ですから、ここを利用してもらい、
その分のお金と時間を、子どもと自分のために使ってもらう。
そのような支援が、ここの子ども食堂の第一の役割と言えるでしょう。
それ以外にも、様々な障害や生きづらさを抱えた方が食堂を訪れます。
その人たちが、気軽に訪れることができる居場所になること。
これが、もう一つの役割です。
貧困とは、経済的貧困のみならず、
関係の貧困でもあるのです。
そして、それぞれの家庭が個別に抱えるニーズを発見して、
そのニーズを支援のネットワークへ結びつけていくこと。
そのためにも、子どもとその家族を、
よく観察しておくことが重要になるのです。
多動性注意欠陥障害の子どもを抱えるお母さんには、
週に一度でいいから、子どもの面倒を見てくれる支援者を紹介して、
子どもから解放される時間を作ってあげられないかとか、
パニック障害で家からなかなか出られないお母さんには、
食堂のメニューを「出前」すると同時に、
御飯を食べながら、一緒にお話相手になれるような人はいないかとか…。
子ども食堂は、利用者の個別の生活事情を発見する場所でもあり、
それを支援に繋げていく場所でもあるのです。
8時で一応の閉店。
でも、上記のような場所でもあるため、
利用者の方たちが世間話をしていくのであれば、
お茶や果物を出したりします。
同時に閉店作業として、
食器を洗って拭き、レンジ廻りを掃除し、ゴミを出し、
最後に、まな板や包丁、ふきんなどを、シンクで漂白します。
食堂を後にするのは、9時頃。
暑い季節に、この長時間労働は、かなり疲れましたが、
でも、一通りのことは体験できたように思います。
昨日は、食堂を主宰する方に、
私なりに考えた食堂の現状と課題に関するレポートをお渡して、
今回の私の修行は、ひとまずおしまい。
9月は、9月中旬から始まる仕事の準備を始めなくてはいけません。
病院にも5日間ほど検査入院することになっているので、
あまり時間が無いのです。
でも、機会があれば、
また子ども食堂に関わってみたいと思います。
お渡ししたレポートの中では、
食堂利用者相互のつながりを生みだすために、
「大人食堂」ならぬ「大人居酒屋」を提案しておきました。
「常連」の利用者を招待し、
粋な肴に美味しいお酒を提供するというもの。
シェフは、もちろん安寿です。 ☆\(ーー; やっぱり
早速、良いお酒の寄付を募らねば。 ☆\(ーー; お前が飲みたいだけじゃろが
安寿
2018/09/06 10:33:40
>ももさん
はい、貴重な経験をするための10日間でした。
私は、子どもは嫌いなのです。
面倒くさい。
でも、嫌いだからこそ、
こういう経験をしないと、
子どものことがわからないままになってしまうので、
そこは修行と思って、
子どもたちが生みだすカオスに巻き込まれていました。
障害を抱える子どものお母さんの表情が暗かった反面、
自ら障害を抱えるお母さんは、子どもをとても愛していて、
表情も明るかったことが印象に残っています。
お手伝いは、しばらくお休みですが、
また、何かしら機会を作って、
様々な現場に出て行こうと思っています。
もも
2018/09/03 20:09:19
とても貴重なけいけんでしたね。
今、話題の子ども食堂ですか・・・
わたしが働いていた時には無かった。
朝4時起きで弁当を持たせて学童保育。
学童保育があっただけましだったな。
大人居酒屋、いいねぇ。
身体に気を付けて、色んな経験をしてください。
とても貴重な時間をありがとう。