1月29日 コペンハーゲンからデュイスブルグまで
昨日、コペンハーゲンの駅前にあるホテルに到着したのは、夕方五時頃ですが、日本時間だと、夜の1時頃。なので、メールチェックだけして、すぐに就寝。
現地時間で夕方6時ぐらいに寝ていますから、当然の事ながら、夜中の12時頃に目が覚めてしまいます。そこから、うつらうつらしながら、朝になるのを待ち、シャワーを浴び、メールの返事を書き、ホテルの朝食を食べます(日本でもヨーロッパでも、ホテルの朝食はなぜか嬉しい)。
8時頃になって、ようやく空が明るくなってきて、ホテルを出発。コペンハーゲン中央駅発8時52分、インターシティ・リュンという特急に乗り、まずはデンマークを島伝いに西へ向かいます。デンマークの島々は、トンネルや橋でつながっていますので、そんなことができるのです。
コペンハーゲン駅を出発して20分も走れば、日本の北海道のような風景が広がります。ただし、高い山は一切見えず、北海道の富良野のような丘陵地帯が続きます。雪はうっすらと残っている程度。天気は、上空に雲がうっすら広がっている感じです。
山がないのにトンネルに入った…、と思えば、これは海底トンネル。コペンハーゲンがあるシェラン島と、アンデルセンが生まれた街オーデンセがあるフュン島を結ぶトンネルで、トンネルを出ると、今度は島伝いに海の上を走るような線路を走り、これは、なかなか楽しい鉄道旅です。
しかし、デンマークの特急は、新幹線のような専用軌道を走るわけではないのに、速い。時速160キロぐらいで走っているのではないでしょうか。そのくせ、デンマーク鉄道の車両は、みんな同じデザインで、しかも地下鉄のような感じ。はっきり言って、かっこよくないです。列車の内部も、デンマーク人は体格が大きいので、座席はゆったりしていますが、凝ったデザインというわけではありません。家具のデザインにはこだわりを見せるのに、鉄道のデザインはどうでもいいのでしょうか? 不思議です。
1時間半も走ると、ユトランド半島に入り、フレデリシアという駅に到着。ここから特急はユトランド半島を北へ、オーフスという街に向かいますが、私はここで乗り換えて、ユトランド半島を南に、ドイツのハンブルグへと向かいます。ハンブルグ行きの列車も、デンマークの車両。ただし、この特急は、インターシティ・リュンと比べると、停車する駅も多く、スピードも遅くなります。線路も単線区間が続きます。駅に着いても、人影はなし。北海道同様、人口密度の低そうな地域です。
ユトランド半島に入ると、天気もどんよりしてきて、時々、粉雪が降り始めました。日が差していれば美しい風景なのでしょうが、雲が垂れ込めていると、陰鬱な感じが強まります。ユトランド半島に入ると、なんとなく工場や倉庫が増え、家のデザインも、北欧の木の家が減って、レンガ造りの素っ気ないものが増えた感じです。ドイツに近づくにつれ、工業化していくのでしょうか。
どこに国境があるのだろうと注意していたのですが、それらしい標識も川を越えるでもなく、いつの間にか、ドイツ側の国境の街フレンスブルグに到着。12時10分。コペンハーゲンから約3時間20分程度で、ドイツに入ったわけです。
国境なんて、所詮、仮想現実の線引きなんだな…、そう思った途端、フレンスブルグの駅からドイツ警察が乗り込んできて、パスポート・コントロール。シェンゲン条約によって、EU域外からEUに入った外国人は、EU内をどこでも移動することができるのですが、しかし、パスポートのチェックは行っています。しかも、私の知る限り、ドイツが一番、こまめにチェックしている感じがします。だって、ドイツ警察のパスポート・コントロールしか受けたことがないから。私がどこから入ったのか、パスポートに押してあるコペンハーゲンのハンコを確認して、OK。
EUにおいて、国境は、自然的・地理的要因から生まれたものというよりも、人間同士の決まり事としてある。つまり、人間が国境を作り出しているわけですが、境界線を引くことが、果たして意味があるのか、それがどこまで意味があるのか、現在、EUにおいて問われているのは、正にその問題です。
ドイツに入ると、複線になり、列車のスピードも上がってきましたが、しかし、現在120キロ程度でしょうか。デンマークからドイツに入ると、いつも思うのですが、デンマークでは160キロぐらいで走っている特急が、ドイツに入ると140キロぐらいにスピードを落とします。制限速度が違うのですかね、不思議です。このフレンスブルグという駅から2時間程度で、ハンブルグに到着します。
途中のレンスブルグという街に到着。この街を出発すると、すぐに巨大な鉄橋が見えてきて、列車は、その鉄橋の下を潜っていきます。こんな大きな鉄橋が、こんなところになぜあるのだろうと思っていたら、走っていた列車は大きなループを描きながら丘を登り、今、潜ったばかり鉄橋の上に出て、この鉄橋を渡るのです。ユトランド半島には、東のバルト海に面したキールから北海へと抜けるノルト・オスト・ゼー運河、通称キール運河が横切っていて、この鉄橋は、この運河を渡るためのものなのでした。こういう巨大な構造群に、鉄子の血が騒ぐのです。かっこいい!
ユトランド半島の付け根は、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州と言って、乳牛のホルスタインは、この地から来たのでしょうね、おそらく。日が差すと美しい風景になりますが、雲に覆われているので、陰鬱な風景が続きます。とはいえ、ドイツに入ると、雪も薄くなったような気がしますし、太陽の位置も高くなったかな? レンスブルグを過ぎると、どこまでも真っ平らな草原が続きます。デンマークは、適度に丘陵があったので、富良野のような風景でしたが、ドイツに入ると、アメリカの大平原のような風景に変わります。今でも三圃式農業が行われているのでしょうか。
ハンブルグ中央駅に定刻より5分ほど前、14:00ちょうどぐらいに到着。ハンブルグ駅で有料トイレを利用した後、乗り換えの列車を45分ほど、待ちます。お腹はあまり空いていないので、今日の目的地まで行ってしまうことにします。ハンブルグには、やはりドイツ語の勉強で1ヶ月間滞在したので、駅周辺の雰囲気がなんとなくわかっているのですが、日本で言えば、ちょうど新宿駅のような感じ。いろいろな人が行き交い、喧噪が支配している感じの駅です。とはいえ、ハンブルグの港湾地帯は、再開発が進んでいて、こちらは豊洲みたいな、新しいまちが広がりつつあります。
列車の正面に落書きが書かれたままになっている、小汚い特急列車が到着。ドイツの鉄道も、外観のデザインは代わり映えしませんが、しかし、内装はデンマークの鉄道よりも、遙かにエレガント。この特急は、ハンブルグを出た後、ルール地方に向かい、そこからライン川に沿って南に下って、南ドイツのシュトゥットガルトまで行くのですが、私はルール地方の真ん中にあるデュイスブルグで途中下車。そこで一泊して、明日、アムステルダムに向かいます。ハンブルグを14時46分定刻に出発。
続きます。
安寿
2019/02/02 04:08:58
>うとうとさん
はい、鉄子です。
乗り鉄だと思います。
飛行機を乗り継いでいくよりも、
絶対、鉄道で国境を越えていく方が楽しいです。
それに日本からヨーロッパに飛ぶと、
だいたい到着が日本時間の夜12時頃になります。
そこから飛行機を乗り継ぐよりも、
コペンハーゲンで一泊して、
そこから電車を乗り継いでいった方が、
はるかに楽しいじゃないですか。
ちなみになぜコペンハーゲンから入るかと言えば、
スカンジナビア航空は、1ヶ月で往復するチケットも
3ヶ月で往復するチケットも、ほとんど値段が変わらないからです。
これが、ルフトハンザや全日空とかいった会社ですと、
1ヶ月チケットの値段は、ほとんど変わらないのですが、
3ヶ月チケットになると、10万円以上の差額が生じます。
なので、その10万円の差額を、
鉄道代とホテル代に使用して、
鉄道の旅を楽しむのです。
うとうと
2019/02/01 12:27:42
安寿さんは、鉄子だったんですね!
地図を手元に置かないと・・東京ー大阪間くらいの時間でドイツに入るなんて思わなかったです。