お遍路の記録 宇和島から松山編 その8-1
2024年2月21日(水) 朝は、雨が一時的に止んでいるかのような曇り。
その後、大雨。
6:00 起床。
コンビニおにぎりと野菜ジュースの朝食。
7:05 出発。
雨はまだ落ちてないが、今日は絶対雨が降るので、
スタートから雨具を着込んで出発。
松山の郊外みたいな街並みを歩いて、
8:35 52番札所、太山寺に到着。
このお寺は大きくて、
しかも、本堂は、納経所よりもまだ先、まだ上にあると聞いていたので、
納経所に荷物を置き、白装束に輪袈裟を着けて、
身支度を整えてから本堂に向かう。
大きくて静かなお寺。
石手寺の、チープで、なんでもあり的な霊場に辟易していたので、
森に囲まれ、人の気配がほとんどないこのお寺は、清々しくて好ましい。
お寺としては、多くの参拝客で賑わってもらわないと
困るのかもしれないけれど。
9:40 出発。太山寺のすぐそばにある円明寺に向かう。
10:15 53番札所、円明寺に到着。
ここは街中にある小さなお寺。
なんとこのお寺には、隠れキリシタンのための石塔がある。
十字の形をしていると言われれば、そのようにも言える気がする石塔に、
聖母マリア像が刻まれているというのだけど、
長い年月が経っているがゆえに、誰が刻まれているのかは、判別不可能。
とはいえ、聖母マリアとはっきり識別できたら、
隠れキリシタンにとっては、とても不味いことになるわけで、
だから、おそらく初めの頃から、
なんのための石塔であるのか、
そこに掘られているのが、いったい誰なのかよくわからない、
ぼんやりとした石塔だったのではないだろうか。
今回のお遍路は、宇和島から松山までの計画だったから、
参拝するお寺は、ここでおしまい。
ここから先は、この次のお遍路のために、
少しでも今治の方に近づいておくことにする。10:50 出発。
11:15 雨が降り出し、あっと言う間に土砂降りになった。
いやいや雷鳴が轟いている。稲光まで光っている。
ここからは、海沿いの道を今治の方に歩いていくが、
波打ち際を行く県道と、もう少し内陸を行く国道の二つのルートがある。
海が見たいから、波打ち際の県道を選んだが、
雨に煙っている海なので、眺めはいまいち。
晴れていたら、とても気持ちのいい道なんだろうけど、
今は、雨に打たれながら黙々と歩き続けるだけ。
海沿いにもかかわらず、風がさほど強くなかったのが、
不幸中の幸い。
波打ち際の県道を歩き続け、
しばらくすると、県道は、次の街の街中へ入っていく。
通過する自動車が、車道に溜まった水を次々と跳ね上げていく。
その水を被りながら、私は黙々と歩く。
好んで、こんなことをしているわけだから、
文句を言えるような筋合いではないが、
でも、心の内では、
「お遍路を粗末に扱うと、弘法大師のバチが当たるんだぞ。」
と思っている。
12:10 小川というバス停のベンチで、ちょっと休憩。
そしたら、ちょうどバスがやってきて、
私をお客と勘違いして停車してしまった。
「すみません、ベンチで休憩していただけです。
大雨でバスに乗りたいのは、やまやまなんですが、
歩き遍路ですし、まだ元気ですので、もう少し歩きます。」
12:20に出発。
13:35 伊予北条の駅のそばにあるコンビニで休憩。
カフェオレを買い、イートインでそれを飲む。
時間的には、まだ歩けそうなので、
予定通り、松山市の北の外れ、浅海(あさなみ)の駅まで歩くことにする。
トイレをして出発。
少し雨が小降りになる。カフェオレ118円。13:50 出発。
伊予北条の街は、
昭和のNHKドラマ『花へんろ』の舞台だったらしい。
道端に立っていた街の案内に、そう記されていた。
『花へんろ』独自の札所も作られていて、
これから行く道の途中にある鎌大師は、その第1番札所らしい。
県道と国道は、この街で一本に合流するけど、
遍路道は、その合流した道から外れて、峠越えの道になる。
この峠道の入り口にある集落に、鎌大師はあったらしいのだが、
気が付かないまま通り過ぎてしまった。残念。
この峠道は、常に舗装されていて歩きやすい。
高さも標高80m程度と低い。
そして、峠のところに、
次の集落である浅海を見下ろすことができる休憩所がある。
晴れていたら、ここからの眺めは、素晴らしいのだろうな。
浅海の集落の向こうに海が広がっている。
浅海へと降り始めると、また雨が本降りになってくる。
集落の方から振り返ってみても、
峠の休憩所は、低く垂れ込めた雲の中に隠れていて、何も見えない。
国道に出て、北に進むと、
15:20 浅海の駅に到着。
ここが松山市の北の外れで、今回のお遍路の終着点。
8-2に続く。